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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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ご恵贈いただきましたので、書評を。
と思うわけですが、とにかく、書きにくい。

書きにくい理由は、ボクが激しいアンビバレンツを抱いているから。
この本、『アカデミアの泳ぎ方』は、劇薬ですよ。
https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758121446/
そもそも著者の谷内江さんが劇薬的な人物だから、当然なのだけども。
猛烈にオススメしたい気持ちと、簡単にはオススメできない気持ちと。
ボクは勝手に板挟みになっている。

とにかく初めにこれだけは言っておきたい。
ボクは谷内江さんの人格、この本でもそこら中から溢れかえっている真っ直ぐな熱さが、大好きだ。
人間に対して誠実で、科学に対して真っ直ぐ。
その方向性は、ボクとも一致している。
そして、その強度が異様だという部分でも、ボクは谷内江さんと、とても気が合う。

だけど。
谷内江さんとボクは、気が合うけど、好みが合わない。
ボクは(谷内江さんも)「好みは人それぞれ」というスタンスだから問題はない。
しかし、世の中の大半はそうではなく、好みに左右される部分が大きい。
そこが難しい。

〜〜

『アカデミアの泳ぎ方』には、研究業界を生きていく上で役立つコンテンツが、散りばめられている。
その内容は多岐にわたるし、類書では振れられていない領域に関する情報も充実している。
ボクが読んで、初めて知ったことや、あらためて実感したこと。
言われてみれば確かにその通りだ、と思わされることが、本当にたくさんある。
そういう意味では、とてもオススメしたい。

しかし『アカデミアの泳ぎ方』は、top of topsの世界観で書かれている。
ボクには、その部分が、なかなか受け容れがたい。
ちょっとスノッブな感じも、敬遠してしまうところだ。
たとえば、全体を通して当然のようにnature誌がどうだこうだという部分は、別世界に感じる。
また、海外に対する壁の無さには、むしろ壁を感じずにはいられない。

想定読者は、大学院生からプロの研究者ぐらいの層だろう。
そう考えると、ポスドクは想定読者のド真ん中になる。
だけど、ボクが自分のポスドクに読んでほしいかどうかとなると、とても悩ましい。
雲上人の世界に思えて、尻込みしたり気が滅入ったりするんじゃないかと、心配になってしまうからだ。

じゃあ読むべきじゃないかというと、絶対に読むべきだとも思う。
ショックを受けてしまうことは懸念しながらも、ショック死してしまわない限りは、読むべき価値がある。
死にそうになるぐらいのショックを受けることで、見える世界もあるだろう。
そうした体験も含めて、ぜひ読んでほしい。

なにより「top of topsは、この水準で物事を考えているんだな」というレベルを知れる。
「真の100点水準」を知らしめてくれるという意味で、『アカデミアの泳ぎ方』は他にない貴重な著作だ。
学生や若手が出してくる初稿は、彼女彼らの自己評価では、100点に近いつもりのはずだ。
でも、社会の評価はそうなっていない。
プロの中でもトップ層の水準から見れば、若手の自己評価での100点は、おそらく30点にも満たないだろう。
その世界の高みを知ることは、自分の現在地を知る上で、最も重要な要素だ。
井の中の蛙がナンタラというが、まさにそれだ。

ボクは小学生にバスケットボールを教えている。
「バスケットボールとして良いスキル」と「小学生が身につけるべきスキル」は、必ずしもすべてが一致するわけではない。
指導をしていて、そこが難しいと感じることは多い。
『アカデミアの泳ぎ方』は、『NBAでスタメンを張るための方法』に相当するかもしれない。
バスケキッズにとっては、もちろん役に立つこともあるだろうが、参考にならない領域も多いだろう。

『アカデミアの泳ぎ方』は、アカデミアの中間層を見ていない。
あくまでトップ層に対して、「top of topsはここまでやってるぞ」と指南している。
本書を手に取る時点で、そういうものだと思っていれば、これ以上の本はない。
しかし、凡百の業界本のつもりでボンヤリと「なにか役に立つ情報はないかな」と思って手に取ると、大火傷してしまう。
そしてその原因は、谷内江さんの熱さにある。

もちろん熱くなければ谷内江じゃないし、本書に価値はない。
この熱さの責任は、谷内江さんにはない。
この熱さに耐えられる人にとっては、最高の一冊であることは、ボクが請け合う。
心して手に取ってほしい。
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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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