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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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思うところあって,自分が主著の論文について,
過去に受けた査読コメントを振り返ってみた。

すべての論文に対して「英語がダメ」「プレゼンテーションが悪い」とコメント。
これは本当に改善すべきだと痛感している。
一方で,
「じゃあどうやったらうまくなるの?」
「そもそも書き方なんて習ったことあるっけ?」
という疑問も。

プレゼン以外の部分では,
はじめのころ(2010年頃まで)は「議論が少ない」と言われていたのに対し,
それ以降は「議論しすぎ」と言われている。
多少書けるようになって,多少考えられるようになって,
調子に乗って書きすぎてしまっている,ということなのかもしれん。
あるいは,
論文を投稿することに対して自分の中でのハードルが下がっていって,
いい加減なデータセットでも原稿を書き上げて投稿しているからかも。
いずれにせよ,身に覚えがあるわけで,気をつけねばならない。
(粗製量産の遠因は人事での論文業績至上主義にあるわけですが・・・)

個別の論文では,
「図表から面白そうなのだが何を言ってるか意味不明」という理由で,
「再投稿ありリジェクト」を受けたのが多い。

投稿した雑誌(再投稿含む)と最終掲載は,
1 Anal. Chem.
2 GRL -- Atom.Chem.Phys.
3 G3
4 EPSL -- GRL -- GRL -- JGR
5 GJ
6 GJ
7 Sci. -- Nat. -- Nat. Comm. -- Nat. Geo. -- Sci. Rep.
8 Chem.Geol. -- Chem.Geol.
9 G3
10 Mar.Chem.
11 GCA -- GCA
でした。
強い自己主張をした4, 8, 11がリジェクトされているのが印象的。
7は地震ネタなので別枠で。

G3は2回投稿しているが,2回とも片方の査読者が日本人だった。
(エディターは日本人じゃなかった)
そういう意味では「狙い目」ジャーナルかもしれん。


で,論文の書き方って,習ったことがないよね,って話。

ボクの場合,修論研究の内容を投稿した原稿の修正稿に対し,
修論指導教員でもある共著者から,
「これを投稿しても読む方に迷惑なだけでしょう」
「もうちょっと何とかなりませんか?」
「第三者になって再検討して下さい。」
というメイルがきた。
もちろん原稿の不出来はボク自身の力量の問題なのだけど,
投稿前回覧の時点でまったく返信がなかったし,
学生時代に論文の書き方を一切指導されていないわけで,
なんというか「それってどうなの?」って感じ。
でも論文執筆とか指導教員とのやりとりって,
自分の例しかわからないから「そんなものかなぁ」という気もしていた。

その後,同僚なんかと話をしてきて,
大学院時代の「論文執筆指導」は大きく2つにわかれていることがわかった。
1つは原稿に対して「教員が自分の文章を記述」する方式。
ボクはこっちの指導を受けた。
教員側からすれば,
「自分の赤ペンを読んでその意図を汲み取って書き方を習得せよ」
ということなのだと思われる。
(でもこれって実質的には個々の才覚をフィルタにかけてるだけだよねー・・・)

もう1つは原稿に対して「学生と教員で一緒に一文一文チェック」する方式。
数時間とか,たっぷり時間をとって,原稿を2人の間において,
「この文はどういう意図で書いたんだ?」
「ネイティブがこの言い回しを使っている論文を示せ」
といった具合に「みっちり指導」するらしい。
これを聞いて,
世の中にそんな指導が存在するということにまず驚いたけども,
そうやって指導を受けた人の原稿を見ると,やっぱり良く書けている。


「論文の書き方」と一口に言っても単なる英語の問題だけじゃなく,
全体構成,パラグラフ構成,議論の持って行き方,主張の強弱などなど,
色んな側面があるわけで「書き方を教える」ってのは簡単な作業じゃない。
でも,簡単な作業じゃないけども,
論文の大部分は「第三者的な視点」で書くもので,
本当に「自己主張」をするのは最初と最後の数パラグラフ程度なわけだ。
なので,
「論文の書き方」に限ってしまえば,
それは「一子相伝の秘技」ではなくて「およそ正解」のようなモノが存在する,
極めて一般性の高い技術なんだと思う。

で,その技術は一般性ゆえに「方法論」として落とし込めるだろう。
ここで言う「方法論」は,
「論文を書く方法論」自体だけではなくて,それよりもう一段メタな,
「論文を書く方法を教える方法論」も含んでいる,というか,
そっちの方こそが確立されるべきものだと思う。

今日はこのへんで。


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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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