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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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人間社会のあれこれを、
「茶番」と「野蛮」に分類して捉えるというのは、
4・5年前の学生時代によく話題にした。

きれいな線引きが出来ているわけではないのだけれども、
簡単に言うと、
人間が生物として本能的に抱く感情から発露する言動を「野蛮」、
理性や知性、社会制度に基づく言動を「茶番」と呼ぶことにしている。

そう考えると、
茶番に該当するものはすべて、
何らかの決まりや思惑の範疇での言動なので、
本当の本当の本質的には、
特にその決まりや思惑の外部にいる人にとっては、
なんら意味をもたないことである可能性が高い。

たとえば、
野蛮というと格闘技などを思い浮かべるわけだけども、
ボクシングを例にとると、
確かに殴り合うさまは一般的な意味で野蛮に見えるかもしれない。
しかしあれは、
両者が合意の上でリングにあがり、
手以外は使わないなどのルールがあり、
ダウンしたらそれ以上は攻撃を加えないという決まりがあり、
という枠組みの中での話にすぎない。
そういう意味で、
ボクシングは茶番であるといえる。

ボクサーはどうだろうか。
荒ぶる攻撃的な精神性(=野蛮)で相手を攻撃している部分もあるだろう。
それでもルールの範疇でのことであり、やはり茶番である。
(耳を食いちぎるなんてのは野蛮だけども・・・)

ではボクシングの観客はどうだろう。
野球やサッカーを観戦するようにスポーツとして見ているなら、
それは茶番を楽しんでいるのだろうけども、
人が殴り殴られる様を見て興奮しているのであれば、
それは彼の中の野蛮さを満足させているのだろう。

トレーニングを積むにあたって、
メダルや順位など外的要因に動機づけられているのであれば、
それは茶番のためのトレーニングで、
自分の体と向き合って単にうまくなりたいというのが動機であれば、
それは野蛮なトレーニングだろう。

自分の成し遂げた研究成果を誇るのなら、
それは研究業界という範疇での茶番であろうけども、
素晴らしい成果を上げた自分を誇るのであれば、
それは自己顕示欲や名誉欲にかられた野蛮なメンタリティだろう。


こうして世の中の物事を茶番と野蛮で分類していくと、
生物的で、本能的で、感情的で、私的なものが、野蛮
社会的で、理性的で、知的で、公的なものが、茶番
というようなことになるのか。


そしてこれはボクの考えだけども、
自分の野蛮な部分は他人に見せるべきではないし、
同時に、
他人の野蛮な部分には踏み込むべきではない。


ここからは本当にまとまっていないのだけども、
社会を形成し生活を営んでいる人間関係において、
野蛮さは社会を崩壊させうる危険性があると思う。
(非社会性の心象・事象だから)
にもかかわらず、
最近、社会でもてはやされているものは、
多くが茶番であった領域に野蛮が侵食したものが多い。

たとえば政治。
従来、政治といえば、
フィクションにフィクションを重ね、
利害関係を調整し、
互いにそろばんをはじいて、
持ちつ持たれつで、
物事を決定する方式を採用してきた。
壮大な茶番であった。
しかし近年は、
有権者の感情を扇動し、
政敵を完全に否定し、
勝者が正義であるという方式が跋扈している。
これは野蛮である。

たとえばテレビ番組。
いまテレビで流行しているのは、
グルメ・クイズ・容姿の美醜。
いずれも「楽しむ」という茶番的感情の前に欲望があり、
欲望(食欲・知識欲・性欲)が満たされるがゆえに「楽しい」と感じるものである。

たとえばスポーツ。
一年を通して覇を競うプロスポーツ興業が不人気である一方、
学生スポーツやオリンピック、W杯といった「負けたらおしまい」的なコンペが人気なのは、
実際のところはスポーツ自体は楽しまれておらず、
単に結果論、生物におきかえれば「生死を賭けた」勝負という、
残虐な物語に関心があるのみだからであろう。


といった具合で、
世の中には茶番と野蛮があって、
野蛮は本来、公に語られるべきでない、
いわゆる秘め事であるべきものであるのに、
最近では秘め事の魔力に侵されてしまって、
つまりは倫理のタガが外れており、
それが社会という茶番システムの不調の根源的な部分にある、という話です。


いや、
こんな着地点の予定ではなかったのだけどね。

そろそろここらで中締めということで。
続きはまた。


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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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