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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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本大会直前まで絶望的予測が立てられていた日本代表であったが、
フタを開けてみれば過去最高に並ぶベスト16
ターニングポイントは直前合宿にあり、
壮行試合となった韓国戦と合宿中のイングランド戦では、
日本代表のプレーの質はまったく異なった
もっとも大きな変更点は、
「ボールの獲りどころ(DFライン)を下げた」ことで、
これには大きな2つの利点があった

1つは「両CBのスピード不足が隠せる」こと
従来の神風プレスでは、
いざ中盤を通り越されたり、
GKとDFラインの間にロングフィードを放り込まれた時に、
相手FWと日本CBの1vs1に持ち込まれてしまい、
追いつけなかったり振り切られたりしてしまっていた
DFラインを下げたことでGKとCBの距離が縮まり、
こういう事態を未然に防ぐことが可能になった

もう1つは、こちらが重要なのだけど、「各人のタスクが明確になった」こと
神風プレスでは、
「ボールを基準に」「前から」「流動的に」守備をする必要があった
しかしラインを下げたことで、
「ピッチを基準に」「後ろから」「固定的に」守備を構築することになった
この変更によって、神風プレスで要求されていた、
試合の流れの中で必要なタスクを探す「各人のサッカー脳」や、
連動的に守備をするための「味方同士の感じあい」というような、
属人的な資質は限られた範囲の選手だけにしか要求されなくなった
阿部・長谷部・遠藤の3人がこれらを担う「調整役」になり、
前3人(本田・大久保・松井)に続いて前からプレスをかけるか、
あるいはDFラインに残ってDFブロックを作り待ち構えるかを判断していた
これによって、
前3人が好き勝手に相手を追い掛け回す(あるいはサボる)などの、
「前線選手のワガママ」は「守備戦術的に許容できる」ようになり、
DFラインがペナゾーン5m前でドッシリと構えているせいで生じる、
「DFラインとMFの間延び」は「MFの管理業務」になったため、
阿部・長谷部・遠藤の「サッカー脳」と「感じあい」に依存することで、
日本は堅守を保つことができたと読み解くことができる


この2つの利点を背景とする堅守を手に入れた日本は、
W杯本大会4試合でわずか2失点という成果を得た

予選リーグでは、引き分けや得失点差も、
決勝トーナメント進出への非常に大きな要因になる
事実、日本はオランダ相手に1失点しかしなかったおかげで、
デンマーク戦を1点のアドバンテージで迎え、
守りっぱなしでも決勝トーナメントに進出することができた
グループE以外でも同様に堅守のチームの健闘が光り、
ベスト16が揃った時点では、
「この大会はモリーニョに侵されている」と揶揄されるほど、
堅守速攻で勝点を集めるチームが勝ち残る傾向が見られた

しかし、決勝トーナメントがはじまり、
ベスト8、ベスト4と続くにつれ「モリーニョ・シンドローム」はなりをひそめ、
決勝は「美しく勝つ」を標榜する「クライフの子供達」による顔合わせとなった

このことは、
日本が目標とする「ベスト4」は、
日本が到達した「ベスト16」の延長線上にはないことを意味し、
「ベスト4」と「ベスト16」の間に横たわる「断層」こそが、
これからの日本が向き合わなければならない課題であることを示唆している








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