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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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研究のオリジナリティってのは、
どういう風に評価したら良いんだろうかね
そんなことを札幌で考えさせられました

たとえば、
「ポスドク」と「出身ラボの指導教員」の間で、
アイデアが重複した場合、
これのオリジナリティはどちらにあるんでしょうかね

特に卒論から一貫して指導を受けていたりすると、
「研究上の思考法」自体が指導教員によってたたき込まれていて、
結果的に、
同じ課題に目をつけ同じようなアプローチをして、
得られた結果を同じように解釈してしまったり、
そういうことは、大いにありえることなんだろうと思う

実験自体からポスドクで移ったラボではじめて、
装置や器具などはすべてポスドクのラボのものを使って、
その間、指導教員とは一切連絡をとっていなくて、
結果を出して考察して論文を書き上げる
元々のテーマ自体も自分で発想したつもりでいる
でもその発想の根幹は、
無自覚であっても、
きっと指導教員のモノであろう
だってその人からしか指導を受けたことが無いんだから

こういうケースでは、
はたしてこの論文は「パクリ」なのだろうか
あるいは「パクリだ」という告発を受けた場合、
どうやって反論ができるのだろうか

指導教員が、
「私は君が学生の頃、このアイデアを話したことがある。
 ゆえに君のこの研究は私からのパクリである」
と言ってきた場合、
はっきりと反論できる材料など存在しない

こうした「指導教員の呪縛」を逃れるには、
もはやまったく異なる研究分野に移るしかない
でもそれでは研究の連続性も発展性も無くなってしまう
ポスドクになってから、出身ラボとまったく関係ない、
たとえば論文を書いても引用する範疇に指導教員がいないような研究を、
一からはじめるというのは、
はっきり言って無理がある
もしそのようなことを(意図せずとも)強要するのであれば、
それはまさにパワハラと呼ばれるものだろう

これとは別に、
学会発表で聞いたアイデアで、
その工夫を利用して論文を書くとする
これはパクリなのだろうか
こういうケースを想定する場合、
学会発表をどういう位置づけにするかが重要なわけだが、
誌上発表と同等の意味があるとすれば、
学会発表要旨であれ引用するべきだろう
学会発表に誌上発表ほどの意味がないのであれば、
引用することはできないかもしれない

では引用してもらえないにも関わらず、
なぜ学会発表をするのだろうか
それは自分の研究やアイデアを知ってもらいたいからではないか
そうして発表した内容について、
「あれはまだ論文にしてないのに、発表からアイデアをパクられた」
というのは、いかがなものか
だったら発表しなきゃ良いじゃないか
もし学会発表はクローズなものであり、
そこで見聞きしたモノはすべて忘れなければならないのであれば、
学会発表自体、何の意味もないことになる

ということで、
そうやって文句を言ってしまいそうな人は、
論文にできるメドのたっていない研究は学会発表すべきではない
あるいは発表するのであれば、
その内容についてどこかで論文になってしまっても文句は言わない
そういう態度であるべきではなかろうかと思う

自分が近い将来、指導教員になることを考えると、
やはり学生さんには学会発表なんかは経験させてやりたい
なので、
発表する以上はただちに論文化するよう頑張らせるし、
それが間に合わないで「パクられた」と感じることがあっても、
それは発表してしまったコチラに非が(非でもないけど)あるわけで、
それはそれで、仕方無いと思うしかない
そういうスタンスで学会発表をすればいいと思う

研究コミュニティってのは色んな部分が性善説で動いている
しかしその意味を間違えてはいけない
「パクらない」協定を結んだような性善説よりも、
「パクったんじゃなくて参考にした」と認めあえる性善説の方が、
学術の発展に寄与するだろう

研究行為はオナニーであっても良いけども、
研究成果をオナニー的な快楽に貶めてはいけない
「巨人の肩の上に立つ」である

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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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