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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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当該会見の文字起こしはリンク先参照。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2994.html
http://synodos.jp/politics/3894/2
以下は抜粋。

=======
A) 当時の歴史をちょっと調べてみたらね、
日本国軍だけじゃなくて、いろんな軍で慰安婦制度っていうものを活用していた訳なんですよ。

B) ただ慰安婦制度についてね、
意に反して慰安婦になった方に対しては、
やっぱり僕は配慮しなければいけないと思いますけれどもね。

C) 銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命かけて、あの、そこを走っていく時にね、
そりゃそんなあのー、武者集団と言いますか、精神的にも高ぶっているようなそういう集団は
やっぱりどこかでね、そのーー、あのーーーーーー、
まあ、休息じゃないけれども、そういう事をさせてあげようと思ったら
慰安婦制度というのが必要だという事は、これは誰だってわかるわけです。

D) 慰安婦制度じゃなくても風俗業ってものは必要だと思いますよ。それは。だから、僕は沖縄の海兵隊、普天間に行った時に司令官の方に、もっと風俗業活用して欲しいって言ったんですよ。そしたら司令官はもう凍り付いたように苦笑いになってしまって、「米軍ではオフリミッツだ」と「禁止」っていう風に言っているっていうんですけどね、そんな建前みたいなこというからおかしくなるんですよと。法律の範囲内で認められている中でね、いわゆるそういう性的なエネルギーを、ある意味合法的に解消できる場所ってのが日本にはあるわけですから。もっと真正面からそういうところ活用してもらわないと、海兵隊のあんな猛者のね、性的なエネルギーをきちんとコントロールできないじゃないですかと。
=======

橋下さんの発言を抜粋した上で,
論点は,
A) 従軍慰安婦は歴史的事実として各国が”活用”していたのに日本だけ批難されるのはおかしい。
B) 慰安婦について「強制」であったなら配慮が必要だ。
C) 兵士のために慰安婦精度が必要だということは「誰だって」わかる。
D) 兵士の性的エネルギーは,慰安婦の代替として風俗業を活用すれば,コントロールできる。
でしょうか。

(A)について,
「日本だけが批難されるのはおかしい」という意見は理解できる。
それはその通りかもしれない。
でも,それを言いたいのだとしたら,
それ以外の主張とは混ぜないで,
「世界中の軍組織にはびこる慰安婦制度に対する遺憾」
として表明するべきものではないか。
そこの切り分けがないのが問題なのかな,と。
もちろん,軍に限ったことではないのだけど,とりあえずは。
たぶんこの部分の主張が(他の主張に比べ)一番理解がえやすいので,
ガンガン喋った時に,結構ここに立ち返って主張しているようにみえる。

(B)について,
橋下さんの主張は「強制していたならダメだ」ということ。
「自由意思で慰安婦となった人もいる。実際に良い暮らしを手に入れた」
という主張の裏返しなんだろうと思う。
でもそもそも「強制」云々は,
もともと政治的・外向的な文脈の中でのことであって,
「軍が」というのを主語にする「集団/全体」としての話で,
「慰安婦の人権」とか「慰安婦の人生観」とか,
そういう「個人」ものとは別物なんじゃないか。
それは赤紙がきたら形式上は「お国のために」と送り出しながら,
人目に触れぬ家の中では「戦争が無ければ」と涙を流していたような,
そういう話の類型であって,
必ずしも表面上の「証拠」が云々では語れないものだと思う。
「慰安婦自身の告白」のみが証拠である以上,
「あなたたちだって,お金が稼げると思ったからやったんでしょ?」
みたいなことを言うのは,どうなんよ?という感じ。

(C)が大問題。
橋下さんの主張をもう少し分解すると,
1.「戦場で兵士の感情がたかぶる」
2.「性的エネルギーもたかぶる」
3.「性的エネルギーの発散には性行為しかない」
4.「性的エネルギーの暴発は軍の規律や一般人に迷惑」
5.「軍の規律と一般人を守るために職業慰安婦が必要」
6.「(1-5のロジックは)誰だってわかる」
ということなんだと思う。
1-2については,戦場に行ったことが無いのでわからないけども,
そういうものかな,と想像はできる。
4は,現在も沖縄などで事実として問題になっている。

問題は,3と5で,それを受ける6。
橋下さんの考えの根底には,
「性的エネルギーは性行為でしか発散できない」
「発散させなければ暴発する」
という「男性観」がある。
ここで「軍人観」じゃなくて「男性観」というのは,
「誰だってわかる」と軍人経験のない橋下さんが言っているから。
つまりこの部分は,
「興奮した男の性的エネルギー(性欲?)は性行為で発散しないと暴発する」という,
もはや軍とは関係のない一般論なわけです。
でも,
すべての男が興奮したら性的エネルギーが昂ぶるわけでもないし,
すべての男が性的エネルギーは性欲でしか発散できないわけでもないし,
すべての男が性的エネルギーを発散しないと暴発するわけでもない。
従軍経験がないからわからないけど,
もちろん「すべての男」を「すべての兵士」に置換したってかまわない。

「自分の欲望の発露で他人を傷つけないようにしよう」ってのが社会を営む大前提だし,
そのための第一歩は「自制」だと思う。
それを,軍という特殊状況だから,という言い訳のもとに,
欲望を自制することを放棄している,欲望を自制しないことを容認している,というのも,
橋下さんの考えの根底にある気がする。

そして,自制できない欲望があって,それが社会に迷惑をかけるから,
(強制ではなく自分の意思を持つ)女性を活用することで解決しよう,
ということだろう。

つまり橋下さんのこの発言の問題点は,
・「男性は性欲を性行為で発散しないと暴発する」という男性一般に対する愚弄
・「従軍中の性欲は自制できないもので仕方がない」という軍人に対する愚弄
・「社会のために女性の肉体を活用する」という女性一般に対する愚弄
あたりにあるんじゃないか。
女性が性風俗業に従事することに関しては,
ボク自身,これといった意見が固まってないので,ここではこれ以上踏み込まない。

とにかく,こうやって考えると,
(D)でいうところの「建前だ」というのは,
「軍で興奮して高まった性欲を自制できず暴発し事件化している事例が山ほどあるのは,
 軍人が性欲を自制できないことを認めず風俗禁止とか言ってるせいだ。」
ということと解釈できる。

そうすると一連の橋下発言の何よりの問題点は,
【政治家が「(男性は)性欲を自制できないものだ」という認識を持っていること】
なんじゃないだろうか。

ここで大事なのは,
「自制できていない」という現状認識と,
「自制できない」という能力の問題の違いで,
橋下さんの言い分だと,
「努力しても自制できっこない。だって実際,自制できてないじゃないか」
ということになる。

「自制できない」という理性の限界があって,
もうそれはどうにも改善しないから,
「自制できない」ベースで制度設計しましょうね,というのが橋下論。

でも,たぶん世界の一般論としては,
「なんとかして自制しましょう」
「欲望を理性で自制できないことは恥ずべき事だ」
「理性を持ち社会を営むのが人間の尊厳」
ということだと思う。

この部分って,
本当に社会観の根底の部分で,
あまりに根底の部分過ぎて,
だから,まさかそんなことが論点だなんて,って感じ。
不勉強で適当な感じになってしまった。


とにかく,
こういう部分って,
近代社会学・哲学を担ってきた欧州には,
文化的に染みついてるものだと思うから,
明日の外国人特派員会見でそういう人達から踏み込んだことを突っ込まれて,
はたしてどうなるのか,って感じですね。

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