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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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学会にとって学術誌の編集は重要な事業として位置づけられている。
この点についても議論がわかれるところではある。
つまり、学会誌を持たない学会に、学会としての価値はないのか、と。
しかし今回は、そんな話は脇に置いておこう。
学会が独自に編集できる学術誌が必要であることは、所与の条件とする。
すると次に議論せねばならないのは、雑誌の経営だ。

学会の雑誌経営にかかるキャッシュフローは、とても怖い。
数百名分の会員の年会費が、雑誌の編集出版に費やされている。
雑誌を出版したことで得られる収入は、これを大幅に下回る。
つまり、赤字だ。
赤字垂れ流し事業。
それが今の雑誌経営の実態である。

さらなる売上は見込めるか。
難しい。
学会が経営する以上は「みんなの雑誌」であることは捨てられない。
大手のような出版費用を徴収するのは、存在意義に関わる。
じゃあ読者がもっと金を出してくれるかというと、そんなことはない。
ありえないと思った方が良い。
ということで、売上増は、期待できない。

経費を抑えるしかない。
雑誌経営にかかる経費とは何ぞや。
なんと出版社への支払である。(もちろん他にも諸経費はある)
なんと。
もはや論文はPDFで読んでいるのに。
出版社に何を委託しているというのか。

PDFをウェブサイトに置くだけなら、出版社である必要は無い。
ITベンダーであればチョチョイのパッと出来るだろう。
しかし、学術誌の特殊性ゆえ、ベンダーの手に負えない部分もあるだろう。
それって、なに?
学術誌の特殊性なら、学者が担えばどうにかなるのでは?
でも学者が雑誌経営に時間を取られて研究や教育を出来ないのは本末転倒。

投稿ー査読ー編集システムは、GoogleFormで作ってしまえば良い。
使い勝手に拘って多額の負担をするのは、本末転倒だ。
所詮、MS WORDで書かれた原稿にコメントするだけなのだから。
組版は、仕上がりに拘らなければ、専門家でなくても出来る。
著者校正でのチェック項目を増やせば、金もかからない。
doiの取得は必須だ。これにどんな手間があるかは、知らない。
読者への流布は、PDFをウェブサイトに置くだけだ。
宣伝は、ガンバレ。
冊子体の出版物を図書館に売ることでの収入があるかもしれない。
その収入を捨てたくないなら、年1冊、図書館用に刷れば良い。

というようなことを、個別の学会が個別にやると、労力が大変だ。
同じ悩みを抱える学会で共同すれば良い。
同じフォーム・ベンダー・宣伝媒体・印刷会社を使えば、コスト削減だ。
ん?
それって、出版社に依頼するのと何が違うの?
うーん。

ずっと中小学会の自助共助で雑誌経営を続けるのは、持続可能ではない。
大変だから。
コロナ禍をハンマー&ダンスで乗り切ろうとするのはなぜか。
ワクチンの浸透を待つためだ。

学術誌出版におけるワクチンとは?
JSTAGEの発展しかないでしょう。

J-STAGEに登録されている雑誌数、2800。
記事総数、5,000,000報。
これはもう、事実上の巨大出版社だ。

J-STAGEの民営化。
これしかない。
JSTAGEの細かいことは知らないので、細かいことは考えていない。

科研費出版助成などの資金源を、個別学会バラマキから、JSTAGEへの直接注入に。
個別学会は、民営JSTAGEに、幾分かの資金提供。
民営J-STAGEの経営監視は、日本学術会議の下に経営諮問委員会を設置。

話をもとに戻す。

個別の学会が雑誌を経営し続けるのは、もう無理だ。
遠くない未来の着地点を、今から模索する必要がある。
それは「今の最適解」とは離れることになるかもしれない。
ワクチンのアテもなくひたすら中途半端な自粛を続けるのか、
ワクチンの日程的メドを見据え、今は厳しい制限に耐えよう、とするのか。
似て非なるもの。
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