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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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 科学技術コミュニケーション(以下STCとします)の重要性がアチコチで訴えられている
(ちなみにSTCやアウトリーチについてボクは否定的です)

5号館のつぶやきさん(わたしはこの5号館で学部時代を過ごしたのですよ)が、
三菱総研の小野槙子さん(北大出身!?)の記事を紹介している


要点を以下に抜粋しますと、

1:科学技術コミュニケーターという職業で生活ができているのはほんの一握りの人たちである。
2:科学技術コミュニケーターの存在意義が、研究者自身を含めた広く世の中に理解されていない。
3:よほど強い問題意識と意思がないと、科学技術コミュニケーターとしての活動を継続することは難しい。
4:科学技術は気づかないうちに人々の生活に入り込んできている。科学技術を知らないと、生命を脅かされるような状況ともなり得るのである。そこに、科学技術コミュニケーターはどうしても必要な人材である。
5:コミュニケーターを利用する社会のモチベーションを高め、利用するための予算や窓口などを整備することも求められている。

と、いうことのようです


しかしこの文章を読んでも、
やはりSTCの必要性はわからないのです

4こそがSTCが必要な理由なのでしょう
「科学技術を知らないと生命が脅かされる」というのは穏やかでない
確かに地震や台風の天災に対してある程度の知識があれば、
それなりの確度で予防することはできるだろう
しかしこれはかなり広義のSTC、つまりは科学技術としては基礎の基礎の知識で、
もはや科学技術を離れて生活上で知り得る民間的な知識なのではないだろうか
あるいは医師の施術の意味を理解したり、
処方された薬の薬効や副作用について知ったり、
そのためにSTCが必要ということなのかもしれないが、
それはあまりに専門的すぎるし、
そういうことは専門家に任せるべきだからこそ医師という職業があるのではないだろうか

と、必要性について不明なままなのに、
5では「コミュニケータを利用する社会のモチベーションを高め」と言っています
これは「何だかわからないけど何か知りたい」という一般のニーズを掘り起こすという意味なんでしょうが、
一般人にとってはモチベーションなんてないじゃないか
高めるっていうけど、社会が何を求めているかわからないじゃない
じゃあコミュニケータが一方的に与えれば良いのかというと、
そんなものは、ありがた迷惑でしょう

3ではこの問題点に触れています
「よほど強い意識がないと、コミュニケータとしての活動は継続しがたい」
これはそのまま、
「(一般社会では)大した問題意識がないので、STCの需要が発生しない」
と読み換えることができると思います

2では「STC(コミュニケータ)の存在意義を研究者が理解していない」としているが、
ここまで述べてきたように、
そもそも明確かつ具体的な存在意義が提案されたことなど一度もないのだから、
理解などできるはずがない
(本駄文のように考察することはできるが)

1では「ほんの一握りがSTCで飯を食っている」と主張しているが、
だったらそのほんの一握り分がちょうど社会の需要と等量ということなのではないだろうか
需要と供給のマッチですね
供給にあたるのは研究業界の経済的・人材的な「余力」の都合でしょう
人材は余剰PDや大学院生であふれかえっている一方で、
経済的には予算をひねり出す余裕がない、という状況でしょうか

ここら辺りに回答がありそうです
つまり、
・人材過多なので供給したい圧力が強い
・それには経済的バックアップが必要
・需要が「あるならば」経済的な支援が得られる
・需要が「あるように」科学技術周辺の人間が扇動
・しかし需要の提示がほとんどなされない
・パトロンあらわれず
というのが、
現状なのかな


ということで、
「STCはやはり重要で今後とも国策として推し進めて行きたい」
という方針なのであれば、
今の時点でやるべき事は、「需要の拡大」なのでしょう

それに対して今のSTCは「現存需要に対する供給」という感じがする
また実際の活動も草の根的なボトムアップなものばかり
これではかなり長期的視点に立たないと需要拡大は達成できない



現状で行うべきSTCのあり方としては、
出張授業やサイエンスカフェのような「需要充足型」のSTCではなく、
テレビあるいはヤフーなど一般ポータルサイト等のマスメディアによる「需要発掘型」のSTCでしょう

実際、「トリビアの泉」などは後者の成功例で、
「雑学クイズ」バブルは今もなお続いています
またその昔、「人気のセ・実力のパ」といわれ、
テレビ放送もなく不人気にあえいでいたパリーグの代表格・野村克也氏は、
スポーツ新聞の一面を買い取ることでパリーグに注目を集めようとしたそうです

これらの故事(?)にならうと、
まずはマスメディアによる発信だと思うのです

テレビで1時間の特集番組を組むのにいくらかかるのか知りませんが、
新学術領域や特別推進などの大型予算であれば、
まったく問題無くできると思うのです

あら、コミュニケーションじゃなくて一方的なアウトリーチになっちゃった
でも、そういうことなんじゃないかな


最後にだけど、
STCが重要だって言いだしたのは誰だろう?
文科省の大失策で大量に余剰PDが生まれちゃったから、
それを挽回するために文科省が雇用対策としてSTコミュニケータ枠を作ろうとしてるのかな?
それ以外考えられないよなぁ
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