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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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まず自分は「システムの被害者」であるという名乗りから社会関係を説明しようとする一般的傾向を何とか食い止めないと、この社会はますます住みにくくなる。
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  (内田樹の研究室)

いや、ほんとに、その通りだと思います


ポスドクの数は多いけど大学教員の枠は減ってるとか、
大学教員の枠は既得権が優先されてなかなか空かないとか、
あそこの人事は内部昇格だからアリバイ公募だとか、
あいつが採用されたのは教授と飲み友達だからだとか、
そんなこと言っててもしょうがない
(卑近な例で申し訳ない)

そういう人事システムの中で生きているんだから、
いまなすべきコト、考えるべきコトは、
このシステムを、
自分に都合の良いように変えることではなくって、
自分に都合の良いように解釈して、
このシステムはそのままに、
このシステムの中で、
自分を受益者として振る舞わせることが重要なのではないだろうか



とか考えると、
いかようにも解釈できる振れ幅を持つ現状の日本国憲法の条文はそのままにして、
ひたすら解釈問題にして物事を処理するという戦後政治のあり方は、
意外と理想的なものなのかもしれない
憲法の条文の中で「クリアな言及」をしてしまうと、
「憲法という支配的なシステム」を増強することに他ならず、
結果として我々にとって息苦しい社会を構築してしまうことにはならないだろうか
そういうクリアカットな面でガチガチに固められた、
角張ったデジタル社会というものの生きづらさみたいなものに、
我々は「お役所的」というあだ名をつけて、
それを快く思わずに暮らしているのが現代日本じゃないのかい、
なんて思うわけです

たとえば車のスピード違反だって、
自分が捕まった時には、
「もっと飛ばしてるヤツをなんで捕まえないんだ!」
とか思いますが、
逆に、
「じゃあ今からちょっとでも違反したら切符切ります」
なんて風に警察がお役所的取り締まりをはじめたら、
常にビクビクしてなきゃならないし、
速くも走れないし、
罰金のリスクは上がるし、で、
車を乗る人にとって良いことなんて一つもないんですね
現状は、「法律自体」よりも「警察の解釈」でもって、
「自家用車に乗る人が不便しない程度で国民の安全もそれなりに守る」
というちょうどいい塩梅になっているわけです
それでいいじゃないですか
「捕まった時は自分は最大の被害者のような気がするし、
 そうでない時に特段受益者であるという感覚もないけども、
 よくよく考えてみれば、
 このシステムの中でほどよく利益を享受しているな」
ということです


国の政治が国民にもたらす利益というのは、
「何もないように感じる程度で何かをしている」ような、
ことさらにアナウンスして重点的に行われることでもない、
「バックグラウンドレベル」で生活を良くすることなわけで、
これは結構バカにならないほど、
我々の生活を豊かなものにしてくれていると思う
こういう「欲を言わなければ充足している社会」にあって、
ことさらに自分を被害者にして、
被害を受けていると思う点を重点的に改善しようとすると、
かえって「バックグラウンドレベル」の部分に歪みが生じ、
ひいては別の部分で大きな被害を被ることになるのではないだろうか
もちろんそれは、
目に見えるようなものではないし、
その被害は体感レベルでは何もないと感じるだろうし、
実際に何の被害もないかもしれない
でも、
「なんとなく上手くいっているシステム」を変えるということは、
「なんとなく」の部分にある塩梅の良い何かを放棄してしまうことで、
「なんとなく上手くいっている」という事態に支障をきたす恐れがある、
そういうことも評価に入れ込んでしまうのが、
巨大なシステムの中で上手に生きていく術なのではないかと思うわけです

「我々は今のシステムの被害者であり、今のシステムは悪である。
 よって、今のシステムを変えれば、今の生活は改善するのである。」
というのは、
「今のシステムがもたらしている利益」
の部分にまったく言及していない極論であり、
非常に危険なものなわけです

そして、
前衆院選の「改革無くして成長無し」や、
今衆院選の「まずは政権交代」というのは、
まさにそういうことなのです

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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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