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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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かつての同僚である筑波大学の浦山俊一さんから誘われて筑波会議2021のS-2セッション 「2050年の社会像:いかに科学技術はより良い社会に貢献できるか?」に登壇したました。

このセッションは、内閣府「ムーンショット・ミレニア・プログラム」という資金の連動企画のようです。通称ミレニアは「新たなムーンショット目標のアイデアを持ち、そのアイデアを具体化・精緻化するための調査研究を行う、目標検討チームを21採択」ということで、ムーンショットでさえ絵に描いた餅感がするのに、さらにその「目標のアイデアから具体化する調査研究」ということで「餅の絵を描くための道具を探そう」というような話にも思えます。

いずれにせよ、ボクはムーンショットのような浮世離れしたキラキラ系の科学技術の未来像的なヤツがそれほど好きではないのです(オブラート)。ムーンショット公募の前段階でも「こんなことやっている場合じゃないでしょ」とコメントしたし、ミレニア公募に「ぜひ応募を」と言われた際も断りましたり、浦山さんがどうやら応募するらしいという話を聞いた時も「やめときなよ」とコメントしました。

そんな経緯もあって、あまり気乗りはしなかったわけですが、盟友うらちゃんから請われては仕方がないので登壇しました。役割は「科学技術の視点からの討論者」ということでした。この師弟討論者システムというのは、きっと人文・社会科学系では行われていることなのでしょうが、何だかよくわかりませんでした。事前にミレニアからの講演者の資料を拝見して、それにコメントするような話をすれば良い、と。

ミレニアからは「こんな技術が出来たらこんな社会になる」みたいなキラキラ系だと想像して、なぜコンビニサンドイッチ製造が機械化されないかという労働問題の話題をマクラに、横井軍平「枯れた技術の水平思考」論を紹介して、科学技術ではなく科学技術者として語らないとアカンのと違いますかと(御題をひっくり返す)意見を述べた後に、現在を生きる科学技術者としての社会貢献には「予測と構想で未来に貢献」「目的は関係なく技術開発で貢献」「過去の技術を現代に活用して貢献」の3点がありえるだろうという結論めいたものを提示しました。

専門である地球規模での物質・エネルギーの循環から「日本にとっては気候変動以上にエネルギーと食糧の確保が安全保障として大事じゃないか」という論でも良かったのですが、人文社会の視点での討論者が『人新世の資本論』斎藤幸平氏だったので、意見対立するとややこしいと思い、その辺は触らないようにしたのでした。

肝心の討論は、討論にもならず、各人が長い時間お喋りになられました。シンポジウムあるあるの「パネルディスカッション、他人の意見を拾わず勝手に喋りがち」ってヤツですね。

いずれにせよ「突然サンドイッチの話をした海の研究者」ということで、傷跡は残せたのではないかと自負しております。
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