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 1. 日本の学会が欧文誌を運営する意義と利点

通説:海外誌に投稿したら,審査を塩漬けにされ、編集者が先に書いてしまった

考察:

某著名教授のお言葉。一般論として現在流布している議論とは異なる議論を、日本人が提案しようとする場合、英語が不自由であったり、“本場”である欧米の“仲間”でないことから、不利益を被る可能性がある。一方で、学会発表を通じて日本語ベースで十分に議論し、内容を理解した学会員査読者が審査すれば、新たに提案するモデルを適切に公表に導くことができるだろう。これは、著者にとっても、日本地球化学業界にとっても大きな利点と言える。

通説:良い議論の出来そうにないデータはゴミ箱(GJ誌)に投稿する

考察:

そう考えている研究者がいるということを納得することは困難ではない。むしろ逆に、これはGJ誌の利点と言えるかもしれない。卒業してしまう学生が出したデータなどは、議論構築には中途半端で、そのまま「死にデータ」になってしまうことがある。であれば、GJ誌にデータだけでも公表しておけば、後の論文で引用される可能性も生まれる。業界人としても、墓場までデータを持っていかれるよりは、(GJ誌でいいから)公表しておいてほしいものである。Noteというカテゴリの利用が現実的か。これは税金を使って研究しているのだから、という側面で国益にかなうともいえる。

通説:日本人同士なので審査過程で細工をすることができる

考察:

確かに編集・査読の段階において、(非公式にではあるが?)日本語でやり取りをすることが可能であるという側面はあるかもしれない。また、互いの事情(卒業が、とか)を勘案し、甘めの裁定を下すこともありえる。これは日本人が雑誌を運営する利点であるが、あくまで非公式な利点といえるだろう。雑誌の学術的な質を向上させることへの寄与はあまり期待できないことにも注意が必要かもしれない。

 

結論:GJ誌って必要??

→運営する利点はある

GJ誌の存続を目指して活動する必要がある

 

 

 

 


2. 学会が欧文誌を運営する上での問題点

学会の財政と欧文誌運営

雑誌運営では、@@が支出、@@が収入となる。財政の健全化のためには、投稿料を増やすか、印刷費を減らす必要がある。完全電子化によって印刷費は縮減されている(一方でサーバー代などはどうなるの?)。投稿料収入を増やすには、採録論分数を増やすか、投稿料を増額するかである。投稿数を増やすには、雑誌に魅力が必要。これについては下で議論。学会が運営を続けるとここで学会としての収入を得られる?それとも独立採算で出版業者さんと云々? (この項、勉強が不十分です

 


編集・査読において学会員にかかる負担

編集委員長、編集委員、査読者の多くは学会員がつとめることになる。雑誌が繁栄するほど、学会員にかかる負担は大きくなるというジレンマがある。これはピアレビュー制で動いている現在の科学界においては仕方ないのかもしれない。

 


GJ
誌繁栄のための投稿

心情的には評価が確立された一流誌に投稿したいネタを、GJ誌の繁栄のためにGJ誌に投稿することも迫られるかもしれない。これは著者となる学会員にとっては惜しいと感じるだろう。しかしこれから評価を得んとする若手はいざ知らず、すでに良い立場にある先生方におかれては、たかが論文一報の名誉にこだわらず、惜しまずGJ誌に投稿していただきたいものである。

 


GJ
誌に採録されたことでの低評価

たとえば若手がポストに応募してきて、GJ5報の人とGCA2報の人、どちらに魅力を感じるか。現状では後者という意見が多いのではないだろうか。雑誌の評価を抜きにして、個別の論文に逐一評価を下すことは難しいだろうけど、ただ、これからポストを得たい若手は、オジサマ達の意向を勘案し、GJ誌を敬遠するのではないだろうか。しかしこれはまた真実であり、特に若手としては、一流誌に投稿したいものである。それをムリヤリGJ誌に投稿させるわけにもいかないだろう。

 

 

結論:問題点はあるけど、学会員の努力と理解で解決可能

GJ誌を良くするには学会員に相応の負担が必要

 

 


3. GJ誌改革私案

3.1 目指すは一流誌ではなく独自誌

GJ誌を、GCAEPSLのような一流誌(高IF値)にすることを目的とするとして、誰がどのように努力するのか。編集委員?学会員?著者? この論点の先には解決策が見当たらない。一流誌になることは結果であって、目的にすることはできない(目標にはできる)。まずは、上述の利点を最大化することを目的とする。独自性が強く活発な雑誌になれば、長期的には一流誌と呼ばれる立場を確立できるかもしれない。

 


3.2
まずは投稿数の増加

特集号や著名な研究者の総説論文によってIF値を一時的に上げることはできるかもしれない。しかしこれは短期的な方策である。長期的な繁栄を目的とするなら、投稿数の増加、およびそれが持続するシステムの構築を実施すべきだろう。投稿数が増えれば、収入が増えるため運営が楽になり(?)、総引用数(IFではない)が増加することで海外の研究者からもGJ誌の存在に注目が集まるだろう。

 


3.3
投稿数増加への方策

投稿したい雑誌というと、高IF値の雑誌、もしくは査読期間が短い雑誌を思い浮かべる。実際GJ誌においても、ExpressLetterが活用されており(?)、査読期間が短いことは原稿を集める上で優位な点として売り出せそう。しかし一律に査読期間を短くすると、編集員・査読者にかかる負担が非常に大きくなる。特に近年増加しているアジア諸国からの原稿には酷いものも多いと聞くので、やみくもに短縮するのは危険である。

 


3.4
学会員への特典

そこで学会員の投稿については査読期間を短くするルールを導入してはどうか。査読期間の短縮により編集者・査読者による負担が大きくなることは、いずれにせよ避けられない。一方で、無分別に査読期間を短くすることと比べれば、学会員(著者)の利益のために学会員(編集者・査読者)が努力するという理屈になり、この会員による相互扶助体制は学会活動の目指すところと一致するのではないだろうか。また、このメリットを求めて周辺分野の研究者が学会員となってくれれば、さらに儲けモノである。

 


3.5
学生会員へのさらなる特典

学生会員については一般会員よりさらに査読期間を短くするというのも一計である。学生会員にとって論文の査読滞留時間が長いことは卒業や就職の面で死活問題であり、これを短縮することは、たとえば会費を安くするよりもよほどありがたい制度かもしれない。教員としても学生会員加入を薦める材料の一つになるのではないだろうか。

 

↓実施すること↓
会員のみ査読期間を短くする


↓結果↓

→会員が投稿し会員が査読するサイクルが活発になる

→ちょっとシンドイ期間が続くが踏ん張る

→雑誌の活発さに注目した日本人がどんどん会員になり投稿してサイクルが加速

→外国人の目にとまり引用数・投稿数が増える

→気付いたらIF値が上がっている

→査読引き受け候補が増え個人の負担は軽減される(10年後ぐらいには)

→一流誌の仲間入り、やったね!

 

 

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