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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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体の外にある「情報」を,
内側に取り込んで「知識」とし,
解釈することで「知恵」を得る。

00年代にノーベル賞を取った人の言葉の意訳。

これが気に入っていて,
これを軸に,
「IT時代の教育論」みたいなものが出来るのではないかと,
悶々と考えてはいるものの,
クリアカットには表現できないでいる。

言いたいことは,つまりこういうこと。

かつては辞書や洋書,古書や専門書などなど,
あるいは雑誌でもなんでも良いのだけど,
情報へのアクセスが物理的/経済的/社会的に制約されていた。
身近に無ければ入手できないし,
高い本は買えないし,
大学の図書館には大学関係者しか入れなかった。

だから,
情報を仕入れて知識とする部分の障壁が大きすぎて,
情報-知識のルートを獲得できた人だけが知恵を得られるような時代だった。
それはたとえば明治維新とか,
漱石や諭吉は洋書にアクセスして,
西洋文化を翻訳/解釈して,
そこから抽出したエッセンスでもって教育していた。
つまりは情報の獲得が制限された中で,
情報から知識への吸収効率を100%に近づけることが第一にあって,
さらにその先に知恵の獲得があった。
いや,もしかすると,
知識の獲得自体が知恵の獲得であったのかもしれない。

時代は飛んで,IT時代。

ウィキペディアやグーグルなどの登場は,
誰でもが情報へアクセスできる状況を作り出し,
「外部脳」という言い方までされるほど,
情報と知識の間の隔たりはわずかなものになった。

そうすると新たな問題,というか,
そういう時代にはどこが教育のキモになるのか,
ということを考える。

もう一度,過去に戻る。

外国から流入する情報は,
かつては書籍/出版という労力/経費のかかるものを経由していたから,
そこでクオリティコントロールがなされていたがために,
アクセスできる情報には一定の価値があり,
それを吸収することは知識なり知恵なりが獲得できる,という保証があった。

では現代はどうだろうか。

ネット情報の発信源は不特定で,情報自体は大量で,
クオリティコントロールがされているとは言いがたい。
そんな情報を100%吸収して知識にしても,
知恵につながるとは言いがたい。
まぁ,
外部脳と考えれば,
もはや情報は知識とイコールなので,
吸収する必要すらないのだけれども。

じゃあ,いよいよ,そこで,
現代で必要な能力,
現代で生き知恵をつけるには何が必要なのか。

それは,
カオスな情報を切り分け,分割し,あるいは統合し,並べ替え,
その中に潜むプリンシプルを抽出する,
あるいはそれを表現し直すこと,
なのではないか。

「虚実入り乱れる表裏一体の社会で清濁を併せ飲む」
「情報の海から一筋の切り口を見出す」

そういう能力こそが,
この社会を生きるのに重要でベーシックなものであり,
これを醸成することが,
現代教育のキモなのではないだろうか。

そうやって考えた時に,
教科書や授業をベースにする教育というのは,
前時代的で,
つまり,教科書や授業ってものは,
日常生活でアクセスできない情報を,
教科書や授業という装置を使って知識化させる装置であって,
かつては(寺子屋とかの時代では)一定の意味を持っていたが,
家庭でこれらにアクセスできる時代にあっては,
もはや意味を持たないのだろう。

もちろん,
初等・中等教育においては,
一定水準の必要最低限的な情報を強制的に知識化させる意味は,
ないわけではない(識字/四則演算/法治など)。

しかし,
高等教育においては,
もはや教科書や授業といった知識化装置は意味を持たない。
現代の高等教育で必要なことは,
「知恵化」能力の獲得だろう。

今のところ妙案があるわけではない。
しかし本質的には,
絶え間ない問答こそが,
唯一で最良の方法だろう。

ここでいう問答は,
自己問答でも,2者間でもかまわない。
「白熱授業」などは,多数がいる教室で,
自己問答の機会を提供していると解釈できる。

だからボクは徹底して問うことにしている。
「なんで?」
「本当に?」
「絶対?」
「例外は?」

別にネタは何だってかまわない。
スポーツでも,
芸能でも,
人間関係でも,
科学でも。


この話は,
自分が教育者になっていくと考えると,
絶対に外せない部分なので,
ちゃんと考えていきたい。



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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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