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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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加速主義の何たるかは知りません。勝手なイメージで言うと『科学を推進していくと、技術が革新して、それが社会変革をもたらす。その社会変革によって目前の諸問題は解決するから、とにかく夢に向かって突き進もう』みたいな印象です。巷で言われるイノベーションとかシンギュラリティとかにも、同じような印象を抱いています。

無責任ですよね。こういう方向に前のめりな人の話を聞くと、あるいは多くの研究者もそうだけども、ネガティブな気持ちになります。

飛行機の離陸のイメージでボクは捉えています。「加速していけば空を飛べる」と言われている気分です。こんな金属の塊が飛ぶわけないやろ。今の時代に飛行機がちゃんと飛ぶのは、理論的な追究と、繰り返された実験と、その後の数多の失敗への反省を、長い年月を経て積み重ねたからです。その間、飛行機が安全に飛ぶと信じた人が搭乗して、時に命を落としながらも実績を重ね、じょじょに飛ぶと信じる人を増やしていったわけですね。

「これは飛べるわ」と思いついた人がみんなに「じゃあ乗って」と言って、みんなが「はい乗ります」とはならないでしょう。今の社会では、「これは飛べるわ」と思いついた人が、理論追究や技術精査や実証試験もそれほど進めないうちから「絶対に飛びます」と喧伝している状態で、周りの人間も意外とパッと乗り込んでいるように見えます。それはつまり「宣伝と投資の共犯関係」なのだけど。しかし、金は賭けるとしても、じゃあ命を賭けるかと言われれば、それは別問題です。

知識のある人達で「これは飛べるわ」「お、飛びそうやんけ、投資したるわ」と話を進めているのを、よくわからない人達が見たら「へー、そんなもんかしらね」と思っても仕方がない。そのまま流されて「どうぞ乗ってください」と声をかけられたら、つい乗ってしまう人もいるでしょう。それがたとえ生煮えの技術で出来た試験機だとしても。滑走路をじょじょに加速していき、飛ぶことがないままどこかに激突して、多くの命が失われ、知識のある人達はそれを管制塔から眺めている。そんなの地獄じゃないですか。いや、一緒に乗り込んで死なれても、それはそれで地獄なんですが。

ということで、COP26です。2050年ネットゼロのカーボンニュートラル。あと30年。自分は70歳、キッズは40歳。孫世代がキッズなぐらいですね。リアルです。

「それはそれ、これはこれ」と象牙の塔に引き籠もっているのは、さすがに違うでしょという思いがあります。それなりに専門家なので「実践的に飛ぶ見込みのない技術」と「投資すれば飛べる技術」の見極めは、その辺の人よりは出来るつもりです。あるいは本腰いれて勉強すれば見極められるという自負がある。「そもそも飛行機より船の方が確実では」みたいな検討をする程度の視野も持っているはず。

客観的な知識を身につけて主体的に関与する。自由と信念。選ばれし者の恍惚と不安。
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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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