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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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東大が新入生の秋入学を検討している件について。
元ネタは「入学時期の在り方に関する懇談会」の「中間まとめ」らしい。
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/pdf/20120120interim.report.pdf
ネットに散乱してる言い分は大体この中で検討されている。
文句を言う前にまず読みましょう。


で,
すごく大雑把にまとめると,
・入学時期変更検討のモチベーションは国際化
・国際的主流の秋入学に合わせることで国際流動性の向上に期待
・国際化の目的は「グローバル人材」育成
・付加価値としてギャップターム
・学生を変容させるための国際経験/ギャップターム活動
・東大の制度改革から社会制度改革への波及を期待
という感じ。

感想としては,
「うちの子はすくすくと育って何の問題もないんだけど,
 なんとなく温室育ちでひ弱な感じがするし,
 近所の評判もガリ勉君よりガキ大将の方が高かったりもするし,
 厳しくして成長を促そうと思うんだけど,
 具体的にどうしたらいいかわからないし,
 グレたりショック死したりしても困るから,
 とりあえず近所の教育ママにならって,
 うちの子も親戚の家に預けてみることにしよう」
という印象。

「東大総長肝いりの親バカ計画」と呼ぶのがふさわしいか。


基本的な話だけども,
システムってのは大部分の方向性を自動的に決めてしまうもので,
少数派の行動はシステム外でフォローしていくってのが,
システム運用の「在り方」なのです。

東大には学生以外にも教員や事務員がいるわけで,
そこまで含めて考えた時に,
「学生の国際経験」だけなら少数派の行動であって,
システムはそのままに,システム外のフォローで対応すべき。
反対に,
教員や事務員も含めて大学すべてを国際化したいのなら,
入学制度だけじゃなくて全学を国際標準システムに合わせないと,
目的を達成することはできない。
ってことで,
「グローバル人材の育成」が目的のシステム変更は,
効果を期待する対象が少数であることでもって,
コストが大きいだけのムダ打ち,アホの所行,と断じてしまえる。


国際化を目的とした意味ではまったくナンセンス。
一方で,
「ギャップターム」だとか,
「高校ー大学のシームレスな接続は本当に効率的か」だとか,
「大学と企業の関係性に一石」だとかは,
たぶん後付けの話題なんだろうけども,
こちらの方が日本社会全体にとっては重要な話題。

話が学内にとどまらず社会全体の変革に波及することを考えると,
東大が秋入学に変更すると相当数の大学が追随してくるだろうし,
そうなると東大のシステムはモデルケースとして利用されるわけで,
システムの対象が社会の多数派にまでおよぶ可能性がある。
(それを期待しているわけだし)
だから議論の出発点を「ギャップターム」に設定して議論するのであれば,
秋入学制は大いに検討に値する。



以下,「中間まとめ」の私的メモ

秋入学検討の動機

○東大としての課題
学生の留学の受け入れ・送り出しの双方…学期のズレは余分な時間・コストを強いる。
(東大学生には意思があるが)留学によって留年する懸念が阻害要因。(アンケート)

○教育システムとしての課題
(高校ー大学の)シームレスな接続か,ギャップイヤーか。根本的な問題の再検討が必要。
(受験勉強という外的動機付けから,大学での能動的な学びへの変換のため)

○人材育成の課題
「グローバル人材」の育成,学生の「内向き志向」の是正の必要性。
(元々東大は「市民的エリート」育成を憲章でうたっている)
グローバル人材の基盤は「語学・コミュニケーション力」
学生アンケートでも上記の力が低いという自己評価。
「学生の流動性の高さは教育の室や国際競争力を示す重要な意味」
(唐突な記載。根拠は?)
同一学年の20%(EU基準)10%(G人材育成推進会議の政策目標)を1年以上の海外留学。


メリット
最大:国際標準と整合し,学生教員の国際流動性が高まる。
学期のズレが解消されればIT授業も広く展開可能になる。
長期休暇の有効利用による教員の活力増進(?)。
企業の採用活動との関わりを社会全体で考え直す契機に。

デメリット
ギャップ時期の家計負担・機会費用・公的試験(医師・法曹・公務員など)との整合
(学内事情として)進学振り分けと入試が同時期に集中
春秋二期採用(複線化)は人的・物的コストが困難。
大学院については多様性があり従来通り複線でも問題ない。
受験時期を他大学とずらすと仮面浪人増加という社会的に負の影響。
入試は現行のままに入学前ギャップタームを。

○基本的スタンス
単に入学時期を変えるだけでない抜本的改革を実施し,
この東大の抜本的変革が社会に波及することを目指す。
一方,大学教育の国際化は,それ自体が最終目標ではない。
自らが少数者となる立場に身を置くことの教育効果。
(同質性の高い学生集団・生活環境からの脱却)
高校ー大学間の接続がシームレスであることが効率的で望ましいという立場に対して,
多様な経験のための寄り道を許容する態度での新たな制度設計。
(前向きな)休学の位置づけも再検討。
飛び級卒業制度も検討。

「全員に国際的な学習体験を」のイメージ
SIE1:単位取得を伴う海外留学(全体の10〜15%)
SIE2:語学留学などその他の海外体験(全体の20〜35%,上記と合わせ50%)
SIE3:英語授業・留学生交流などの学内国際体験(全学)
到達目標例として,卒業者過半がTOEFLスコアで留学可能水準に到達
単に語学力にとどまらず,コミュニケーション力向上の総合推進

ギャップタームの使い方に大学が関与すべきかは要検討。
基本的には信頼するが支援/指導も考えなければ。
ギャップターム中の活動をいかにひょうかするか。
研究経験/社会活動/補習的勉強などを想定
産学官連携の非営利団体を通じてインターンの場を設定


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海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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