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自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
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『いや〜、ははは。金田さんの話は面白いのう。ワシは金田さん好きじゃなあ。』

「殿!いけませぬ!」

『どうしたんじゃ』

「そのような発言をされては、「前時代的教育擁護者」のレッテルを貼られかねません」

『・・・え?どういうことじゃ?わしはただ金田さんが好きじゃと』

「殿は高校球児が過酷すぎる練習で体を壊して将来を棒に振っても良いとお考えですか」

『いや、そんなことは一言も言っておらんぞ』

「殿、では今日本全国で桑田さんの意見と金田さんの意見のどちらに同意する人が多いとお考えですか」

『え?う〜ん。それは桑田さんかのう。桑田さんは聡明じゃと思うぞ。桑田さんの意見は理にかなっておる。まあそれはそれとしてわしは金田さんは好きなのじゃ。わしも高校野球やっとたけど、最近は世間の目も厳しくて、ちょっと寂しい気分なのかもしれんのう』

「殿!なりませぬ」

『なにがじゃ』

「自分が少数派の時は黙っておいた方が良いのです」

『・・・いや、別にわしは金田さんが正しいとか、全高校球児が金田さんのような鉄人になれとかそんな話をしとるんじゃないよ。ただ金田さんが好きだと・・・』

「公の場で言わねば良いことです。」

『そうなのかのう。。でもの、わしらは今仏国におるんじゃぞ。わしが「金田さんおもしろい!」と言うても「キ?」とか言われるんじゃぞ。仕方がないから顔本に書いてみたんじゃが』

「殿、顔本はそのような目的で使うものではないのです」

『何と、そうなのか。では何のために使うのじゃ?』

「殿、お察しください。」

『・・・そちの話は難しいのう。じゃあどうすればいいんじゃ。取りあえずさっき書いた頁を破っておくかのう』

「殿、恐れながら、先ほどの発言は既に世界中に飛び火したものと」

『何と、そうなのか』

「「あんな前時代的な殿様のいる藩で子供を藩校に通わせることなどできない!」など辛辣な意見も寄せられております」

『え、そうなの?何かわし、ものすごく弁解したくなってきたんじゃけど・・・』

「殿、それは「負の螺旋」の始まりで、一番避けるべき行動です。その上、近年主流の「はい論破」戦術に対して、殿の「だって好きなんやもん」戦術はもっとも相性が悪いのです。城は一晩で落ちることでしょう」

『もう〜、何でそんなにいじめるんじゃ。じゃあわしはどうしたらいいんじゃ』

「今から私が紙に書く内容を大声でお叫びください。この事態においては、それが最善かと」

『そうか。わし、もう考えるのも面倒くさくなったからそちの言う通りにしようかのう』

「では、これを」

『誰か〜、誰か飲みに行こぉ〜〜!!!』


http://www.excite.co.jp/News/sports_g/20130909/Postseven_210370.html
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GWを費やして作成した申請の結果が出て,
一発採用でも一発落選でもなく,面接に行くことになった。
(ようするにJSPS海外PDですけど)

情報によると,
申請180に対し,一発30,面接30,落選120らしく,
最終採択率20%とすれば面接からは6人程度,
最終採択率25%とすれば面接からは15人程度,
採用されることになる。
ちなみにここ数年の採択率は20-25%ぐらい。

今回の申請が年齢的に(正確には学位取得からの年数的に)最後のチャンスなので,
ここでダメならもうダメで,
次の面接は本当の本当に一発勝負ということになる。

だんだんと欲が強くなってきて,ここまできたら絶対に受かりたい。
だから面接に向けての準備はかなりガッチリとしたい。
とはいえ,目の前の仕事もそれなりには進行させる必要があるわけで。
なんせ9月下旬に面接だけど,8月末から9月中旬までは航海だったりして。

家庭生活にも影響が大きいことなので相談もしているが,基本的に,
「どうせ好きなようにするんだから,好きなようにしたらええよ」
というスタンスなので,
家庭というファクターが決断を左右しないという意味で,
本当に支えられてるなぁと思う次第です。

心にたまっている部分があって,
でも諸々の事情で書けない部分が多くって,
もんもんとしております。

大きい枠組みで言えば,
自分の「コンフォート・ゾーン」を,
飛び出すのか,引きこもるのか,
変化させるのか,堅持するのか,
そういうことなんだろうと思う。

産まれてから社会に出るまでは,
社会制度的に(学校とか)環境を変えざるをえないから,
外圧的に「コンフォート・ゾーン」から引き剥がされていく。
それが成長のトリガーになっている側面もある。
「苦労しろ」ってのも,良いようにとらえれば,
「コンフォート・ゾーン」の外側に目を向けさせるもので,
価値観の多様性につながっていくのだろう。

その後,大人になって,社会人になって,
自分が身を置く環境を自分で選べるようになった時に,
あるいは,
自分が身を置く環境を自分で選ばざるをえない状況になった時に,
その時の「コンフォート・ゾーン」を基準にして,
その外側にある未知の何かを求めていくのか,
その内側にある既知のことを享受していくのか,
そういう意味でどういう選択をするのかってことが,
「生き方」みたいなものなんじゃないかなぁ,と。
別にどっちの選択が良い悪いじゃないんだけど。

でもって,たとえば子供が産まれたり,親の介護が必要になったり,
そういう自分では制御できないような外的な要因が絡んできて,
「コンフォート・ゾーン」の外側に引きずりだされることがあるかもしれない。

なんかぼやかしてる内に何が言いたいのかわからんようになってきた。

何のために勉強をするのかって言ったら,
世の中の仕組みを理解して,
より(広い意味で)自分にとって良いように生きられる選択肢に気付けるように,
また多様な生き方を選択可能な自由な状況にしておくために,
そういうために勉強をするんじゃないかなぁ。

すっかりサゲ進行です。

航海アレコレ,審査アレコレ,パワハラアレコレが会社的なトリプルパンチであって,
ヨソでの学位審査とかSTAPのアレがボディーブローになって,
さらに家庭的なアレもアレしたりして,
もうヘロヘロです。

こういう時にこそブログに書き出すことで整理したいのだけど,
書けない部分が多くて書きにくかったり。

夏のバカ騒ぎ2014桃神祭一日目は超神席でした。
G1クライマックス2014横浜文体も神席でした。
この2つのチケットだけで2マソ。
浪費はアカンよ。
ブログを書かないから健康を損なうのか,
健康を損なっているからブログを書かないのか。
両方かな。

「素振りみたいなもの」略して「素振り」は,
続けることで意味が出てくるものよね。
上達とかそういうことじゃなくて。
身体動作の滑らかさ,軌道の安定性,事後の感覚。
そういうものを「確かめる」ところに,
妙味があるように思うわけですね。

いつも「新しいモノ」に取り組まねばならない職業なので,
だからこそそういう素振りを続ける心身のスペースだけは,
絶対不可侵として残しておかねばならないだろうな。

ということで,
近いうちにツイッタの方をbot化して,
こちらに軸足を移そうと思うわけです。
近いうちが,いつかは,わからんけども。
乗船前日の名護のホテルでうまく寝られず体調を崩して乗船。
ちきゅう独特の乾燥とホコリで完全にやられて沈没。

部屋にユニットバスがあるといえども,
窓も時計もテレビもないのでゆっくりできず,
(トイレがあるせいでかえって臭いがこもって・・・)
居室環境はあまり快適とは言えない。

食事は噂通り多種多様なビュッフェが6時間おきに出てきて,
手を変え品を変えで和洋中かつ牛豚鶏魚介野菜が調理され,
しかもどれも良い感じに日本人向けにアレンジされている。
難点と言えば,白米があまり美味しくないことぐらいか。
2週間弱だったこともあり飽きることもなかった。

調査の成果についてはアレだが,調査の流れは馴染みがない感じだった。
マリンさんとの作業の棲み分けが悩ましいところではあったが,
郷に入れば郷に従えで,慣れれば具合良くやれそうな気もした。
慣れるほど作業がなかったけど。

コアリングをガンガンはじめたところで,
ワッチを組めない層の薄さが襲いかかってきて,
ヘロヘロになりながらサンプリング。
もう24時間観測はできない体になりつつある。
これもマリンさんとうまくやりくりして分担せねば。

全体に時間がルーズというか,
計画通りに進行できないことが多く,
作業のリズムがつかめないのが非常にやりにくい。
ドリリングの方で不具合が生じると何が起こっているかサッパリ。

総括すると,
「ちきゅう最高だぜ!」
って言う人がいっぱいいるけど,
自分に限って言えば,全然そんなことなかった。

たぶんそれはちきゅうが不快だったと言うよりは,
「ちきゅう最高」って言う人達に比べ調査船への乗船経験が豊富なせいで,
(それに加えて船酔いもあまりしないので)
普段の乗船でも不満を感じなくなっていることが大きいのではないか,と。

またぜひ乗りたいということはなかったです。
まぁどうせまた乗るんでしょうけど。
今回はチーム戦術について。


今大会のキーワードの1つとして「5バック」が挙げられる。
「5バックは4バックより守備的」云々と言われているが,
数字の問題はあまり本質的で無いだろう。

5バックが流行しているのはなぜか。
それはこれまで4バックが流行していたからである。
つまりこういうこと。

===================

4バック,より具体的には「4-4」のツーラインで構築するブロック守備が,
世界の大半のチームで採用される守備戦術であった。
(今でももっともメジャーなやりかたである。)
だから戦術家は「いかに4-4ブロックを崩すか」と考えた。
そうして編み出された戦術が「ブロックの横から侵入する」ことだ。

仮にブロックが高い位置にあれば,
攻め手は,相手ブロックの背後に向かって,サイドから斜めにボールを蹴り入れる。
これで攻撃側FWは前に向かって走りながらボールにタッチ出来る一方,
守備側DFは後ろに向かって走りながら防御せねばならないので,
かなり有効な攻撃である。
だからこの「サイドからボールを蹴り込む選手」については,
「4-4ブロックの外で」マークにいかねばならない。

仮にブロックが低い位置にあれば,
攻め手はゴールラインギリギリまでドリブルで侵入して,
斜め後ろ方向にパスを出す。
攻撃側はゴールに向いた状態でボールの出所も同時に見られるが,
守備側はボール保持者と受け手がそれぞれブロックの前後にいるから,
両方を注視することが難しい。

他にも色々とあるけども,
とにかく,
「ゴールの正面で4-4ブロックを作っておけば守りきれる」
という守備戦術に対して,
「横並びが4人だと約70mのピッチ幅を守るには足りない」
という弱点を見出した攻撃側が,
「ブロックの脇をついて,つまりウイングを基点に攻撃しよう」
という攻撃戦術で4-4ブロックを打ち破りはじめたのが最近のトレンドだった。

ちなみに「パスで崩しきる」という場合には,
4-4ブロックに正面から侵入して,
4-4の隙間でパス回しをすることで突破するという作戦。
これは個々の選手にすごく技術がいるし,
これ一辺倒だとブロックを狭くすれば抑えられるので,
「ブロックを拡げさせる」ためにも,やっぱりサイドへの展開が不可欠になる。

===================

Jリーグに話を戻すと,
この「4-4ブロック崩し」に執念を燃やし,
その攻略法を完璧な戦術として落とし込んだのが,
前サンフレッチェ広島・現浦和レッズ監督のミハエル・ペトロビッチ。
通称ミシャの「ミシャ・サッカー」。

「ミシャ・サッカー」の特徴は5トップ。
つまり相手の4-4ブロックに横串を刺すように5人の選手を配置する。
そうすると先に挙げた,
「4-4ブロックの脇にウイングが構える」のと,
「4-4ブロックの中にパスの受け手がいる」のとを,
同時に実現できる。
さらに相手のブロックの状況に応じて,
「外から崩す」と「中から崩す」の両方を臨機応変に使い分けられるので,
攻めあぐねることが少なく,延々と攻撃を続けられる。

前線に多くの人数を割く超攻撃的布陣で守備の脆さが指摘されているものの,
「4-4ブロック崩し」としては効果絶大。
実際に「ミシャ・サッカー」を大筋で継続しつつ,
森保一監督によって守備にも柔軟性があるようにモデルチェンジした広島は,
J1を2連覇している。
こうして「ミシャ・サッカー」はJリーグの一大トレンドになっていて,
多くのチームが類似の戦術(コンセプト)を取り入れだした。

一方,一大トレンドになっているから,
「ミシャ・サッカー封じ」ももちろん編み出され始めている。
それが「5バック」だ。
簡単に言えば,
「5トップに4バックやからやられるんや!
 5トップには5バックで対応や!」
ということで,これが効果絶大。

普段は4バック(4-4ブロック)で戦っているチームも,
ミシャサッカーの広島や浦和と戦う時は5バックを採用し,
攻撃を防ぎきる展開が増えてきた。
(しかし5バックに慣れていないのと守備的になりすぎるので,
 勝ちきるよりはズブズブの試合で引き分けになることが多いように)
ちなみに鹿島などは相手がミシャサッカーでも,
「伝統の4バック」を続けている。
(そして負ける)

===================

というJリーグの状況を見ていると,
中堅国を率いる戦術家たちが「5バック」を採用するのは当然の流れで,
5バックで強豪の攻撃力を削ぎ,
攻撃に転じるや両SBがSHの位置まで駆け上がることで,
攻撃と守備の両立を実現した。

このサッカーでは(もちろんミシャサッカーでも),
両SBに守備力・スピード・スタミナが求められる。
SBは消耗が激しいのでバックアップが不可欠になる。
でもJリーグなどクラブチームだと,
予算の関係などで,良いSBを4人雇っておくことは難しく,
1シーズンを戦い抜くことが大変な戦術である。

一方で,国の代表であれば,特にW杯なので,
選りすぐりのSBを両方合わせて4枚選出することが可能で,
代えが効くからこそ,90分間,バンバン走らせることができる。
さらにW杯というモチベーションがあるから,
選手もメンタルを維持して「闘い続ける」ことができる。 

===================

で,翻って日本代表だが,
元々ザックは「3-4-3」「サイドで早く攻める」を標榜していたが,
とりあえずは選手に馴染み深い「4-2-3-1」を採用してきた。
いずれにせよ「4-4ブロック崩し」である。

それが1年前ぐらい前に,この攻撃が不調に終わることが多くなってきた。
つまり「4-4ブロック崩し」が効かなくなった。
理由はよくわからないけど,
各国代表が「5バック的」な守備をする柔軟性を身につけてきたからかもしれない。

そうした流れがある中で,
ザックは自論の「3-4-3」をオプションにすることで事態の解決を試みた。
一方,選手主導で「サイド攻撃じゃなく中を崩す作戦」が提案された。
この辺りは今後いろいろと漏れてくるだろうけど,
結果としてザックは選手の意向を汲んで,
「4-2-3-1」という配置で「中を崩す」という戦術を採用した。

ザックにしてみれば,
「4-2-3-1」でのサイド攻撃は十分に染みついているはずだから,
「4-2-3-1」での中央攻撃をオプションにすることで,
「外から」と「中から」の両立が期待できる,という想いがあっただろう。

でも,残念ながら,選手の個人戦術として,それを使い分ける柔軟性が不足していた。
またチーム戦術としても,
「外から」と「中から」を試合の中で臨機応変に,
選手間で意志を共有して使い分けるということが出来なかった。
これがザックの誤算で,今大会の敗因なんじゃないだろうか。

===================

結果論ですが,
海外組は各チームで自分をアピールすることが重要で,
かつチームの中で戦術について深く話すことがなかったせいで,
「選手の個人戦術でチーム戦術を駆動する」ような能力が欠如していた。

もしJリーグの選手だけで代表を構築していれば,
敵味方の差はあれ,常に接しているので,
「広島みたいにアソコはこうしよう」
「鹿島みたいにココはこうしよう」
という形で,
個人の蓄積をチーム戦術のディテールに落とし込むことが可能だったんじゃないか。
今日は二点。


【パスが少ないのは「うまい人」が「へたな人」にパスしないから】

ちゃんとした統計データを見ていないけど,これは明白。
素人サッカーでも「うまい人」は自分が認めている人にしかパスしない。
「へたなヤツにパスするより自分が持っている方が安全」ということでしょ。

もう少し踏み込むと,
パスを出す時の判断には2つあって,
「自分はこの隙間にパスを通せるか」ってのと,
「受け手はこのパスを受け止められるか」ってこと。
前者が「勇気を持ってパスを出す」ってヤツで,
後者が「仲間の特徴を知る」「信頼」ってヤツでしょう。
ここで話題にしているのは後者の不足からくるもの。

今回のチームで言うと香川は本田を探す。本田は香川を探す。
この二人については,あと長友と遠藤ぐらいしか見ない。
それ以外の場合はボールを持ち続ける。

確かに一瞬の局面だけを取り上げると,その方が良いのかもしれない。
でもサッカーは22人がフィールドにいるチームゲームで,
通常ロースコアゲームになることからもわかるように,
(バスケは100点入るけどサッカーは5点程度ということ)
守備の方が圧倒的に有利なゲーム。
ボール(を持った人)が停滞したら奪われてしまうのは自明。

最後の一年,柿谷と大迫がトップに入ることが多かったけど,
本田と香川は,柿谷にはパスをしたが大迫にはしなかった。
柿谷は「信頼」していたけど,大迫はそうじゃなかった,ってこと。
それは親善試合でもアリアリと伝わってきた。
ザックはその辺りの機微に気付いてか気付かずか本番で大迫を採用。
その点について言えば,采配ミスと言えるかもしれない。



【「人のベクトル」と「ボールのベクトル」が重複】

「人は70kgの塊なので惰性で動くけど,ボールはワンタッチで方向が変えられる」
この事実を,いかに上手に操るかがサッカーのキモ。
「相手の逆を取る」とか「外す動き」ってのは,
相手の体がすぐに方向転換できないことを操ることを意味する。

「前に速いサッカー」だからといって,
攻撃側が人もボールも同じように前向きにしか進まないのでは,
守備側はずっと後ろ重心で対応すれば良いのでイージー。

でも,攻撃側の人が前に動きながらも,ボールは前後に動かせば,
つまり比較的長い前へのパスと短い後ろへのパス(落とし)を組み合わせれば,
守備側の重心は前後に揺さぶられる。

守備側がずっと後ろ重心で守備をすれば,
「落とし」を受けた選手の前にはスペースが出来る。
守備側が「落とし」にプレスをかければ,
その裏に攻撃側が走り込むスペースが出来る。

ザックジャパン前半の常連だった前田は,
ワンタッチで「落とし」をした後に,
「落とし」の角度から180度(正反対)方向に自分の体を動かしていた。
ボールに近づいて触ったらボールから離れる。
相手が自分を追えば落としを受ける人がフリーに,
相手がボールを追えば自分がフリーになる。
この動きを繰り返すことで相手最終ラインに混乱を作りだし,
香川や岡崎が侵入するための最終ラインの隙間を作り出していた。

前田が調子を崩して以降,
色んな人がワントップに入ったけども,
この動きを継続して最終ラインに隙間を作っていたのは大迫のみ。

「人とボールが同じベクトル」の最たるものが「ドリブル」。
本田や香川は受けたボールを持ったまま前にあがっていく。
守備側は彼らのスピードに合わせてブロックを後退させれば良いだけ。
結果的に,相手がしっかりと引いたブロックを作ってしまう。
これで岡崎が斜めに切り込む得点パターンが使えなくなる。
(相手ブロックが低くなるとGKとの間に隙間がなくなるから)
自分たちが「前に攻める」ことに固執した結果,
自分たちで相手の守備を強固にしてしまっていては結果が出るはずがない。

ちなみに柿谷の特徴は,
後ろから来たボールのベクトルに自身の動きを合わせて,
受ける瞬間から前へのベクトルを最大化してゴールに迫るもの。
(普通はトラップ動作と体の加速が別々になるのでボールのベクトルが止まる)
これは相手最終ラインの後ろにスペースがあれば活きるが,
低めでガッチリしたブロックを相手にまわすと何もできなくなる。
また日本が香川と岡崎で仕留めることを目指していた以上,
チーム全体の動きとしても噛み合わない。

試合の詳細(コチラ

本田の個人技で先制するも,
ドログバ投入で雰囲気を作った相手に逆転負け。


*連動しない守備*
守備時に二列目以下がかなり低い位置取り。
トップに入った大迫は常に本田の位置を探りながらのプレス。
時折,本田がGKまでプレスをかける勢いを見せるが後ろはついてこず,
簡単にかわされて自由にやられてしまう。

*徹底されないボール保持*
相手から奪ったボールを受けた香川がゆったりと持ち上がる。
高い位置まで至った後に,パスを交わして時間を作れば良いんだけど,
相手を剥がそうと切り返して(雨のせいかもしれないが)奪われてしまう。
これが「カウンターのカウンター」を許してしまい,
上記の「低いライン」から脱却することができない。
左奥まで持ち上がったところで香川ー本田ー大迫を中心に,
「鳥かご」をやりながら時間を作ることは難しくないし,
鳥かごのまま集団で相手ラインを押し込んでいくもヨシ,
それを長友が追い抜いて深い位置からあげるもヨシ,
少し戻したところから対角の岡崎にあげるもヨシ,
このチームは「左サイドで攻撃を作る」のが主たる武器なんだから,
それを活かさないと。

*リーダーシップの不在*
前からのプレスにせよ,ボール保持にせよ,
「こうやるんだよ!」「なにやってるんだ!」
という熱量を発散するプレイヤーがいない。
たとえば本田が前からガンガンプレスに行くとして,
後ろがそれについてこないんだったら,
もっと声を上げて,「俺のやりかたに後ろが合わせろ!」とやればいい。
本田はピッチ上ではそういう「熱」を発散しない。
大迫も「熱」を発するタイプではない。
今の代表では唯一,長谷部がそういう「熱」を出すものの,
残念ながら優等生なので「魂のスイッチ」になるようなものではない。
「熱」を発散するのは誰でも出来ると言えば出来るけど,
普段から所属チームでそういうことをやって,チームを牽引している選手,
今の代表だと大久保1人だけど,そういう選手はより自然に出来ると思う。
「熱」と「戦術」を両立させた自律した選手がいれば,
この試合の「冷たい敗戦」はなかった。



*で,属人的に*
香川。
足下の技術がありボールが集まるが,
戦術的な動きや熱を発散してチームを牽引するタイプではない。
チームがうまく行かない時に自力で流れを変えるプランを出せない。
良くも悪くも「チームの流れ」と個人のデキが連動してしまう。
チームの「武器」にはなるが「主人」にはなれない。
左サイドを基点にするが,中に切れ込むことも多く,
相手左SBの攻め上がりを許しがち。
しかもその欠点を補うべく走ってチェイスすることもない。
「いく/いかない」を自分で判断するような任務は苦手。
ドルトムントでうまくいっていたのは,
「ガンガンプレスする」という方針が明確だったからかと推測。

本田。
「俺たちらしいサッカーを貫く」とザックに告げ,
チームの方針についてかなり議論をした。(各種雑誌インタビューより)
おそらくこれでザックは「本田のやりたいように」という姿勢になった。
本田は(たぶん)パスを交わしながら相手を崩しきるサッカーを目指している。
実際に本田がうまく機能する時は,近い距離でのパスが中心。
しかし本田自身が,それを実現するだけの能力を有していない。
相手をかわしきれないアジリティとスピード,
45分もたないスタミナ,
味方を使わない(香川と柿谷のためには「従」になるがそれ以外はしない),
味方に使われない(連動した守備の一部になれない),
攻守の切り替え時に1秒程度,判断に時間を要する,
などなど,あげればキリがない。
ざっくりまとめると,
本田がやりたいサッカーを実現するには本田ワントップしかないけど,
本田ワントップだと二列目は「気が利く」タイプを並べる必要があって,
香川はこれに該当しないし,トップ下遠藤だと総合的な守備力がかなり下がる。

ということで,
位置取りと運動量で相手を崩しきる「俺たちらしいサッカー」をするには,
「本田か香川か」どちらか1人という選択になる。
「本田も香川も」を選択するなら「俺たちらしいサッカー」は難しく,
「トップ本田トップ下香川」にして,
4ー4ー1ー1的に,残りの8人は守備に徹する必要がある。
2010年岡田政権は「4ー1ー4ー1でトップ本田を活かす」作戦だったが,
それを否定して4年間を費やした結果,
「本田を活かすならチーム全体は守備的なメンバーで」という,
岡田さんの判断の「正しさ」を証明することになったという。。。

「噂」の通り,この2年で本田に病気が発覚したのだとすれば,
本田起用の判断をここまで引っ張り続けたのが失敗だったのかもしれない。
直前米国合宿前に「本田外し」を決断していれば,
皮肉にも「俺たちらしいサッカー」が実現していた可能性が高い。
(23人の本田のところに憲剛が入る)
ブロックを固めた守りから鋭いカウンターを仕掛けるクロアチア。
その流れで先制。

後手に回ったブラジル。
失点直後は強引な攻めも見せたが,じょじょに落ち着いて攻める。
基本的にはDFライン4人を残して6人で,クロアチア10人ブロックを崩そうとする。

今大会注目のネイマール。
やわらかいボールタッチ以上にボディコントロールがすごい。
だから上半身のフェイントで相手をかわせるし,
相手の懐に飛び込んだ後のドリブルでも倒されず前に進める。

そのネイマールがトップ下に入り,
ボールを受けてから1枚剥がしてパス&ゴーすると,
クロアチアのブロックが混乱に陥る。
そうやってクロアチアのブロックを「縮め」たら,
左CBから対角奥にロングフィードでブロックをすべて飛び越えて裏を突く。
ブロック対策はバッチリ。
疲労が見えたクロアチア(ピッチも滑りやすそうで負担が大きかったか)から,
ネイマール・ネイマール・オスカルと順調に決めて,
終わってみれば圧勝の3−1。

結果だけ見れば惨敗も,
クロアチアだって技術と組織がハイレベルで融合した良いチーム。
ベスト4進出でもおかしくない。

A組はメキシコとカメルーン。
どこが抜けるか。
最後のオスカルによる1点が,得失点差に響くかもしれない。


西村主審ら3名が審判団。

あまり笛を吹きすぎない,
ネイマールに毅然とイエローを出す,
エリア内での引き込みを見逃さずPK判定,
足が攣ったフリで時間を稼ぐブラジルを担架導入ジェスチャで立たせる,
など,素晴らしい働きだったと思います。
プロフィール
HN:
kawagucci
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
海洋系の某独法で働く研究者が思ったことをダラダラと綴っています
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