自由と信念の箱船で恍惚と不安を抱きストロングスタイルで爆進します!
ハリルホジッチ体制が続く日本代表。先のイラク戦で「香川スタメン落ち」という出来事があり,そこで代わりに入ったトップ下清武が機能,左ウイングの原口が活躍。さらに長友が練習中のケガで離脱。岡崎も足の負傷ということで「ついに世代交代か」という雰囲気。
豪州戦のスタメンは,フタを開ければ本田香川長友岡崎の「ビッグ4」から本田と香川が選出。本田が1トップに入りその後ろに香川。両翼に原口と小林悠。長谷部と蛍が並んだ後ろに左から槙野森重吉田高徳で西川。ここ数試合の「右に入った本田が中に入りすぎて渋滞」「1トップの岡崎あるいは浅野のポストプレイに難あり」「バイタル前あるいは両角奥の守備に不安」という背景を踏まえると妥当な決断か。というか,およそこんな配置が良かろうというのは(本田・香川に対する態度を越えて)各種メディアで指摘されていたこと。
スタメンから滲み出るように「守備重視」「ライン低めからのカウンター」という戦術を徹底した代表。動く範囲が狭くスピードが要求されない1トップで持ち前のキープ力を発揮する本田。課された守備タスクが明確(コースを切りながらサイドへ誘導)になって迷子にならない香川。他はもとから守備意識の高い面々。前半は完全に試合を支配して終了。立ち上がりのカウンター(原口ー長谷部ー本田ー原口)からの1点リードで後半を迎える。
後半の立ち上がりに,このメンバーで起こりうる問題点をつかれる。前掛かりになる高徳,ボールに釣り出されがちな蛍,長谷部がカバーしきれず,あわてて戻った原口がファウル。PKから失点。1-1になって気持ちで押し込まれ始める。ピンチが続くと「とりあえず後ろに下がる」をチョイスしてしまう典型的日本選手の悪癖が露呈。バイタル前に7人ほどがずらっと並んでしまうなど。2失点目も時間の問題か。先方には魔王ケーヒルが控えている。
ハリルホジッチはここでも手を打たない。引き分けを目指しあわよくば得点ということであれば,1トップにスピードのある選手(ベンチメンバーなら浅野)を配置して4-1-4-1にしたい。しかし4-4ブロックの強度を上げるために配置する中盤底の「1」を担える選手がいない。南アで阿部勇樹が担っていた役割。長谷部なら可能かも知れないが,長谷部をDFライン前に配置するとその前で守備的なタスクを担える選手がいない(ベンチメンバーなら柏木・大島・清武)。アギーレは森重をここに配置することにご執心だった。仮にこれが実現していたならば,こうした「逃げ切り」の状況で最終ラインに植田など単純な跳ね返しに特徴のある選手を入れて森重をアンカーにあげるオプションを保有できた。
結果的に本田に代えて浅野を投入するが,意図が読めない。攻撃に出るにしては中途半端。原口・香川・小林の2列目での守備強度が低下していることは解決しないまま。さらに長く性格なパスを出せる選手も乏しく浅野の裏抜けという特長が活かせない。DFラインから相手裏へのパスが数本あったが(惜しかったものの)いずれも単発でおわる。いずれにせよ他を代えないで1トップのみを代えるのであればベンチに岡崎がいたのだが。(報道以上に重傷で出場不可だったのかもしれない)
最後の選手交代は,原口に代えてCB丸山をそのまま左ウイングに置く。セットプレイあるいはパワープレイを想定したものだろう。しかしいかにも急ごしらえといった感じ。ここでも選手交代による戦術オプションの乏しさが露呈。結果的に,丸山がヘッドでの落としで惜しい場面を作ったりしたが,そのままゲームセット。1-1。
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ハリルホジッチが指向している戦い方というのが(ついに)うっすらと見えてきた。勝てると踏んだ試合では個人力量の総和で相手を押し切るような攻撃陣を配置し,簡単に勝てないと踏んだ試合では引いて守ってカウンターという人員配置・戦術で対応する。就任以来,唱えてきた「デュエル」「縦に早いサッカー」というような両方の戦術にあてはまる。攻めにいく試合ではとにかくボールを敵陣で回し個人の力量でゴールをこじあける(強く束縛するチーム戦術はない)。守りにいく試合では自陣で待ち構え相手からボールを奪ったら少数精鋭でワンチャン狙い。
この2パターンのいずれかにはまる選手を選考しているのだろう。チームの根幹は岡崎本田香川原口長谷部長友高徳ゴリ森重マヤ。そこに清武・大島・柏木(・太田)は攻めきる試合に,小林・武藤・蛍・槙野は守ってワンチャン狙いの試合で,それぞれ特長を出せる選手として適宜チョイス。
しかしこの2パターンによるチーム構成は,試合ごとには切り替えられるけど,1試合内では(3枚のカードのみでは)切り替えられないので,複数ポジションを担えるポリバレントな選手が少ないメンバーでは戦術の柔軟性に難がある。代表の場合はトレーニングでオプションを作り上げる時間的余裕が乏しいので,個人戦術に柔軟性を持つ選手を選考するしかないのだが,それはハリルホジッチの頭には無いようだ。
今回の試合での「左SB槙野」というのはいわゆる「守備強度増加オプション」だと思うが,これ以外に現在のメンバーでオプションが見当たらない(吉田も右SBができるか)。先に述べた通り,「アンカー森重」がありえるなら一気に柔軟性があがる。今回のスタメンで見れば香川を外してCB植田とアンカー森重という配置にすればゴール前の守備強度があがり,長谷部・蛍でサイドのケア(4-1-4-1)もしくは最前線への飛び出し(4-1-2-3)が可能になる。SBもウイングもできる選手がいれば4バックと3バックの切り替えがスムースになり相手の戦術変更に対応出来るだろうし,ポストプレイも裏抜けもできる選手がいれば攻撃指向と守備指向の試合内切り替えがスムースになるだろう。
って考えると,どれもこれも,ザックやアギーレが試そうとしたことなんだな。ザックが3-4-3をオプションとして保有することに執心したのは,彼個人の成功体験もあるだろうが,4バックと3バックの使い分けができれば試合中に切れる戦術カードが急激に増すからだったと思う。またアギーレが特にサイズのある選手に偏った選考をしていたのは,絶対的サイズ不足という代表の欠点を少しでも解消したかったからだろう。現メンバーだと180を超えるのが本田と両CBだけ(たぶん)。ザック時代はCB今野などさらに軽量だったが,前田ー本田と前線に2人を配置していた。しかしこれではセットプレイ・パワープレイに対して心許ない。SBに大柄な酒井ゴリを配置するのはこの問題を解消する一手なのだが,90分トータルで見ればむしろ守備強度は下がっているかもしれない。森重アンカーもこの考え方で合点がいく。
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まぁそんなこんなで,ハリルホジッチについては「戦術オプションは乏しい」「乏しいオプションの範囲内でチーム力を最大化するための選手選考」という指向が判明した。人員配置は4-2-3-1のみ。チームの根幹となる選手を代える気はない。それ以外は各ポジションに2名ずつで,攻撃に特長がある選手と,守備に特長がある選手。結局,南ア岡田時代から大きな変化がないままズルズルといきそう。明るい未来が見えないなぁ。
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豪州戦のスタメンは,フタを開ければ本田香川長友岡崎の「ビッグ4」から本田と香川が選出。本田が1トップに入りその後ろに香川。両翼に原口と小林悠。長谷部と蛍が並んだ後ろに左から槙野森重吉田高徳で西川。ここ数試合の「右に入った本田が中に入りすぎて渋滞」「1トップの岡崎あるいは浅野のポストプレイに難あり」「バイタル前あるいは両角奥の守備に不安」という背景を踏まえると妥当な決断か。というか,およそこんな配置が良かろうというのは(本田・香川に対する態度を越えて)各種メディアで指摘されていたこと。
スタメンから滲み出るように「守備重視」「ライン低めからのカウンター」という戦術を徹底した代表。動く範囲が狭くスピードが要求されない1トップで持ち前のキープ力を発揮する本田。課された守備タスクが明確(コースを切りながらサイドへ誘導)になって迷子にならない香川。他はもとから守備意識の高い面々。前半は完全に試合を支配して終了。立ち上がりのカウンター(原口ー長谷部ー本田ー原口)からの1点リードで後半を迎える。
後半の立ち上がりに,このメンバーで起こりうる問題点をつかれる。前掛かりになる高徳,ボールに釣り出されがちな蛍,長谷部がカバーしきれず,あわてて戻った原口がファウル。PKから失点。1-1になって気持ちで押し込まれ始める。ピンチが続くと「とりあえず後ろに下がる」をチョイスしてしまう典型的日本選手の悪癖が露呈。バイタル前に7人ほどがずらっと並んでしまうなど。2失点目も時間の問題か。先方には魔王ケーヒルが控えている。
ハリルホジッチはここでも手を打たない。引き分けを目指しあわよくば得点ということであれば,1トップにスピードのある選手(ベンチメンバーなら浅野)を配置して4-1-4-1にしたい。しかし4-4ブロックの強度を上げるために配置する中盤底の「1」を担える選手がいない。南アで阿部勇樹が担っていた役割。長谷部なら可能かも知れないが,長谷部をDFライン前に配置するとその前で守備的なタスクを担える選手がいない(ベンチメンバーなら柏木・大島・清武)。アギーレは森重をここに配置することにご執心だった。仮にこれが実現していたならば,こうした「逃げ切り」の状況で最終ラインに植田など単純な跳ね返しに特徴のある選手を入れて森重をアンカーにあげるオプションを保有できた。
結果的に本田に代えて浅野を投入するが,意図が読めない。攻撃に出るにしては中途半端。原口・香川・小林の2列目での守備強度が低下していることは解決しないまま。さらに長く性格なパスを出せる選手も乏しく浅野の裏抜けという特長が活かせない。DFラインから相手裏へのパスが数本あったが(惜しかったものの)いずれも単発でおわる。いずれにせよ他を代えないで1トップのみを代えるのであればベンチに岡崎がいたのだが。(報道以上に重傷で出場不可だったのかもしれない)
最後の選手交代は,原口に代えてCB丸山をそのまま左ウイングに置く。セットプレイあるいはパワープレイを想定したものだろう。しかしいかにも急ごしらえといった感じ。ここでも選手交代による戦術オプションの乏しさが露呈。結果的に,丸山がヘッドでの落としで惜しい場面を作ったりしたが,そのままゲームセット。1-1。
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ハリルホジッチが指向している戦い方というのが(ついに)うっすらと見えてきた。勝てると踏んだ試合では個人力量の総和で相手を押し切るような攻撃陣を配置し,簡単に勝てないと踏んだ試合では引いて守ってカウンターという人員配置・戦術で対応する。就任以来,唱えてきた「デュエル」「縦に早いサッカー」というような両方の戦術にあてはまる。攻めにいく試合ではとにかくボールを敵陣で回し個人の力量でゴールをこじあける(強く束縛するチーム戦術はない)。守りにいく試合では自陣で待ち構え相手からボールを奪ったら少数精鋭でワンチャン狙い。
この2パターンのいずれかにはまる選手を選考しているのだろう。チームの根幹は岡崎本田香川原口長谷部長友高徳ゴリ森重マヤ。そこに清武・大島・柏木(・太田)は攻めきる試合に,小林・武藤・蛍・槙野は守ってワンチャン狙いの試合で,それぞれ特長を出せる選手として適宜チョイス。
しかしこの2パターンによるチーム構成は,試合ごとには切り替えられるけど,1試合内では(3枚のカードのみでは)切り替えられないので,複数ポジションを担えるポリバレントな選手が少ないメンバーでは戦術の柔軟性に難がある。代表の場合はトレーニングでオプションを作り上げる時間的余裕が乏しいので,個人戦術に柔軟性を持つ選手を選考するしかないのだが,それはハリルホジッチの頭には無いようだ。
今回の試合での「左SB槙野」というのはいわゆる「守備強度増加オプション」だと思うが,これ以外に現在のメンバーでオプションが見当たらない(吉田も右SBができるか)。先に述べた通り,「アンカー森重」がありえるなら一気に柔軟性があがる。今回のスタメンで見れば香川を外してCB植田とアンカー森重という配置にすればゴール前の守備強度があがり,長谷部・蛍でサイドのケア(4-1-4-1)もしくは最前線への飛び出し(4-1-2-3)が可能になる。SBもウイングもできる選手がいれば4バックと3バックの切り替えがスムースになり相手の戦術変更に対応出来るだろうし,ポストプレイも裏抜けもできる選手がいれば攻撃指向と守備指向の試合内切り替えがスムースになるだろう。
って考えると,どれもこれも,ザックやアギーレが試そうとしたことなんだな。ザックが3-4-3をオプションとして保有することに執心したのは,彼個人の成功体験もあるだろうが,4バックと3バックの使い分けができれば試合中に切れる戦術カードが急激に増すからだったと思う。またアギーレが特にサイズのある選手に偏った選考をしていたのは,絶対的サイズ不足という代表の欠点を少しでも解消したかったからだろう。現メンバーだと180を超えるのが本田と両CBだけ(たぶん)。ザック時代はCB今野などさらに軽量だったが,前田ー本田と前線に2人を配置していた。しかしこれではセットプレイ・パワープレイに対して心許ない。SBに大柄な酒井ゴリを配置するのはこの問題を解消する一手なのだが,90分トータルで見ればむしろ守備強度は下がっているかもしれない。森重アンカーもこの考え方で合点がいく。
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まぁそんなこんなで,ハリルホジッチについては「戦術オプションは乏しい」「乏しいオプションの範囲内でチーム力を最大化するための選手選考」という指向が判明した。人員配置は4-2-3-1のみ。チームの根幹となる選手を代える気はない。それ以外は各ポジションに2名ずつで,攻撃に特長がある選手と,守備に特長がある選手。結局,南ア岡田時代から大きな変化がないままズルズルといきそう。明るい未来が見えないなぁ。
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